p.94-95 裁判所と司法
要点の整理
(1) 司法権の独立
①大津事件
・明治時代,政府は大審院長の児島惟謙に対し,犯人に死刑を適用するよう圧力をかけたが,児島は拒否して司法権の独立を守った
・児島は裁判官に対して死刑を避けるよう説得しており,裁判官の独立は侵害している
②日本国憲法における保障
・司法権の独立(第76条1項),裁判官の独立(第76条3項),裁判官の身分保障(第78条),弾劾裁判制度(第64,78条),国民審査の制度(第79条)
・裁判官は,心身の故障や,国会の弾劾裁判,国民が直接おこなう国民審査以外では罷免されない
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(2) 裁判制度
①三審制……最大で3回まで裁判を受けることができる
②裁判所の種類
・最高裁判所,下級裁判所(高等裁判所・地方裁判所・家庭裁判所・簡易裁判所)
・特別裁判所の設置は禁止されている(第76条2項)
例:第二次世界大戦前にあった皇室裁判所・行政裁判所・軍法会議など
③裁判の種類
・刑事裁判……罪を犯した疑いで起訴された人が有罪か無罪か,また,有罪であればどのような刑事罰を科すかを決める裁判
・民事裁判……貸したお金を返さないなど,私人どうしの法律上の争いを判断して解決する裁判
・行政裁判……民事裁判の一つで,違法な行政行為によって国民の権利が侵害された場合,国民が国や地方公共団体に対して裁判所に訴え,その救済を求める裁判
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(3) 違憲審査権
・「憲法の番人」といわれる最高裁判所は,法律・命令(法令)が憲法に違反していないかどうか審査する違憲審査権をもつ
・最高裁で違憲判決が出れば,その事件に対してその法令は無効になる