p.210-211 少子高齢社会
要点の整理
(1) 人口減少と少子高齢化
①少子高齢社会……新たに生まれる子どもが減り,高齢者の割合が増える状態
・背景:合計特殊出生率が低下,医療技術の進歩により平均寿命が伸びる→65歳以上の高齢者が総人口の約30%を占めるようになった
・合計特殊出生率……1人の女性が一生涯に出産する子どもの数の平均値。人口維持に必要な合計特殊出生率は2.07
・合計特殊出生率が低下した理由:未婚化・晩婚化に加え,働き方,高い教育費,子育てと仕事との両立の困難など,社会の変化や夫婦の価値観からも影響を受ける
②少子化の進行→人口減少社会に
・人口減少社会のメリット:地球環境への負荷の減少
・人口減少社会のデメリット:労働人口の不足,経済成長への影響,財政問題,過疎問題,年金・医療費・介護費の増大,社会的インフラの維持
↓ 人口減少社会を乗りこえるために
・少子化の原因を取り除き,出生率を増加させる
・労働生産性の向上,社会保障制度の見直し
・社会的インフラの維持←財政効率を高める
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(2) 少子高齢化が社会に与える影響
①少子高齢化が進むと
・生産年齢人口(15歳~64歳までの生産活動を中心となって支える年齢層)が減少する
→生産年齢人口が減少すると,労働力人口の減少と高齢者を支える現役世代が減る
②少子高齢化の課題
・社会保障制度:現役世代が減少すると,公的年金の賦課方式の維持が困難になる
・財政や税制:現役世代が減少するので所得税収が減少する。高齢化も進展し社会保障関係費も増えるので,財政負担も大きくなる。
・産業や労働市場:生産年齢人口が減り,働き手がいなくなる。この結果労働力不足になり,経済が停滞し,製造業などでは技術伝承も困難になりやすい
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(3) 少子高齢化への対策
①高齢社会への対応
・平均寿命を伸びたことをふまえ,ゴールドプランや介護保険が制度化
・高齢者が働く場の確保や高齢者福祉を一層充実させる必要がある
②少子化に対する支援の重点課題
・少子化の課題を明確にする
・少子化対策として子育て支援をなお一層充実させ,地域の実情や男女の働き方改革なども考慮しながら,包括的な支援が求められる