p.206-207 社会保障のしくみ
要点の整理

(1) 社会保障制度のあゆみ
・1601年 エリザベス救貧法(英):病人や老人,子どもなどの生活困窮者への恩恵的給付
 →世界初の公的扶助
・19世紀後半~ 資本主義経済の弊害:貧富の差の拡大
 →資本主義諸国で貧困の原因を取り除く政策を実施
・1942年 ベバリッジ報告(英):社会保障を体系的に整備
 →「ゆりかごから墓場まで」のスローガン
・第二次世界大戦前後:社会保障制度を取り入れる国が増加

--------------------------------------
(2) 日本の社会保障制度
生存権(日本国憲法第25条)→社会保障が国の責任となった
・日本の社会保障制度の四つの柱
 ①社会保険,②公的扶助,③社会福祉,④保健医療・公衆衛生
社会保険……医療,年金,雇用(失業),労災,介護からなる
・必要に応じて所得やサービスを受けることができる
・1961年 「国民皆保険」「国民皆年金」の実施
・1985年 国民年金法改正:基礎年金制度の導入
・1995年 育児・介護休業法(1999年施行):職業生活と家庭生活の両立をめざす
・2000年 介護保険法:高齢者介護のサービスや費用を保障
 40歳以上の全国民が保険料を負担する。運営主体は市町村
・2008年 後期高齢者医療制度開始 「後期高齢者」とは,原則75歳以上の人をさす
公的扶助……生活困窮者に対し,生活,教育,住宅,医療,介護,出産,生業,葬祭扶助をおこなう
・費用は全額公費負担
生活保護……国民に対し最低限度の生活を保障する
 →生きる上での最後のセーフティネット
社会福祉……児童,母子,高齢者,障害者を支援するために施設やサービスなどを提供
・費用は全額公費負担
④保健医療・公衆衛生
保健医療……国民の健康維持・増進をはかるために感染症予防などを実施
公衆衛生……環境整備のために上下水道整備や公害対策をおこなう

--------------------------------------
(3) 日本の年金制度
①公的年金制度の流れ
・各種年金(国民年金・厚生年金保険など)による格差→是正のため制度の整備
・1985年 基礎年金制度の導入
→1989年改正 20歳以上の学生の強制加入→保険料負担が増大
・2015年 公務員対象の共済年金は厚生年金保険に統一
②年金財源の調達方法
積立方式……保険料を積み立て,老後に利息とともに受け取る   
 ←→インフレに弱い
賦課方式……年ごとに年金給付額に必要な財源を調達
 ←→高齢化が進むと現役世代の負担が重くなる
世代間扶養の考え方に基づいて,基礎年金制度では賦課方式を採用