p.186-187 市場のしくみ(2)
要点の整理

(1) 日本の市場
①独占と寡占
独占……電力会社やガス会社のように,市場で売り手が一社であること
 背景:受給関係によって頻繁に値段が変わると支障が出る,供給するための費用が莫大(一社の方が効率的)
寡占……ビール業界や自動車業界のように,少数の企業が市場の大半を占めること
 背景:規模の利益(スケール・メリット)を求めて企業が大規模化
②寡占市場・独占市場の問題点
・生産費が下がっても価格は下がりにくいこと(価格の下方硬直性)がある
・管理価格の形成→企業がプライス・リーダー(価格先導者)に→価格の自動調節機能が消滅
非価格競争(デザイン・宣伝・アフターサービスなどの競争)の激化 

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(2) 企業結合の形態と独占禁止法
カルテル……寡占企業が価格・生産量・販売地域について協定を結ぶ
トラスト……同じ産業の企業が合併する
コンツェルン……複数の産業を持株で支配する
独占禁止法でカルテルを禁止
公正取引員会による監視(1997年には持株会社解禁を認める)

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(3) 市場の失敗
市場は,参入可能な需要と供給の関係を調整するだけで以下の事態には対応できない(市場の失敗)
公共財の供給……不特定多数が利用するものは,市場にまかせていては供給されない
→市場の失敗を補う政府の役割が重要に
独占・寡占市場の成立……自由競争による淘汰の結果,独占・寡占市場が形成され,自由競争が阻害される
情報の非対称性……売り手と買い手の相手の情報格差により生じる
・外部経済・外部不経済……市場を介さずに与えられる
 例:遊園地ができる→周辺の店舗の売り上げが上がる(外部経済)
 →自動車通行量が増え,渋滞や騒音などが生じる(外部不経済)

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(4) 価格の種類
市場価格……市場で実際に取り引きされる価格
均衡価格……需要・供給曲線において需要量と供給量が一致する価格
独占価格……供給側が一社で決める
寡占価格……プライス・リーダーが価格設定し,他社がこれに従う