p.182-183 経済社会と経済体制
要点の整理
(1) 政府の役割の変遷
①さまざまな経済学者が説いた政府の役割
・アダム=スミス(英):市場メカニズムに委ねることで社会全体が発展すると主張
・マルクス(独):資本主義の問題点を指摘し,社会主義経済を主張
・ケインズ(英):不況下における政府の役割を指摘し,修正資本主義を主張
・フリードマン(米):新自由主義を指向し,小さな政府を主張
②経済学の流れ
・資本主義(アダム=スミス)→修正資本主義(ケインズ)→新自由主義(フリードマン)
→社会主義(マルクス)
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(2) 資本主義経済と社会主義経済
①資本主義経済
・特徴:生産手段の私有,市場経済における自由競争,利潤最大化・労働生産性の追求
・理論:アダム=スミス(1723~90)
資本家の欲望追求を肯定,市場原理への信頼,自由競争の推進
「見えざる手」により,結果的に社会全体が調和的に発展する
自由放任主義(レッセ・フェール),小さな政府
・課題:貧富の差の拡大,独占・寡占(価格機構の不全),世界恐慌
②社会主義経済
・特徴:生産手段の社会的所有,政府が生産と分配を管理する計画経済を主導
・理論:マルクス(1818~83),エンゲルス(1820~95)
計画経済に基づくため,景気変動は発生しない
所得の格差が小さく,価格の変動も起こりづらい
・限界:生産効率が低い,技術革新が起こらない
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(3) 修正資本主義
・特徴:おもに不況時の政府による積極的な市場介入
・理論:ケインズ(1883~1946)
政府が有効需要を生み出すことによって景気を牽引
政府が積極的に経済に介入する大きな政府
・例:F.ローズベルト大統領によるニューディール政策
・限界:民間企業の活力減退,価格機構の不全,政府の財政赤字拡大
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(4) 大きな政府と小さな政府
・小さな政府……政府の役割を国防などの必要最小限にとどめる考え方
・大きな政府……政府の役割を拡大し,国民の生活を保障する考え方
→近年は金融危機や感染症拡大により,大きな政府が指向される傾向に