p.116-117 地方自治と住民の福祉
要点の整理

(1) 地方自治のしくみ
①日本国憲法における地方自治
・「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は,地方自治の本旨に基いて,法律でこれを定める」(第92条)
・地方自治の本旨:団体自治(地方の政治は中央政府〈国〉から独立しておこなわれる)と住民自治(地方の政治は地域住民の手によっておこなわれる)
②地方自治のしくみ
・「地方自治は,民主主義の源泉であるだけでなく学校である」:ブライス(イギリスの政治学者)
意味:住民自身が,身近な地域の政治に取り組むことで,民主主義に参加する姿勢が育つ
・大日本帝国憲法:地方自治の規定はなく,地方政府は中央政府から統制を受けていた
 →日本国憲法:第8章に地方自治の規定が設けられる
地方自治法(1947年):国と地方の関係は対等になったが,実際には国からの委任事務などが多かった
 →地方分権一括法(1999年):地方分権の推進をめざす。機関委任事務を廃止し,自治事務と法定受託事務に

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(2) 直接請求権
・直接請求権:条例の制定・改廃請求権(イニシアティブ), 議会の解散・首長や議員の解職 (リコール),住民投票(レファレンダム)
住民投票:地方特別法に基づくもの(法的拘束力あり)と,住民投票条例に基づくもの(法的拘束力なし)がある

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(3) 地方財政の現状
①一般財源と特定財源
一般財源(地方税・地方交付税・地方贈与税・地方特例交付金)……どの経費にも支出できる
特定財源(国庫支出金・地方債)……使いみちが決められている
②自主財源と依存財源
自主財源……地方公共団体が自主的に調達
依存財源……国の交付や意思決定などによる財源
 →自主財源が歳入の約3~4割の自治体が多く,三割自治(四割自治)とよばれる