p.112-113 国会と立法
要点の整理
(1) 国会の組織と権限
①国会の種類
・通常国会(常会):毎年1回,1月中に召集。会期は150日間。おもに次年度の予算を審議
・臨時国会(臨時会):内閣または衆議院・参議院のいずれかの総議員の4分の1以上の要求があった時に召集
・特別国会(特別会):衆議院解散後の衆議院総選挙から30日以内に召集。内閣総理大臣の選出をおこなう
・参議院の緊急集会:衆議院解散中に緊急の必要がある場合,内閣が求める
②二院制(衆議院と参議院):慎重な審議をおこなうため
・衆議院:定数465人(小選挙区289,比例代表176),任期4年,被選挙権25歳以上,解散あり
・参議院:定数248人(比例代表100,選挙区148),任期6年(3年ごとに半数改選),被選挙権30歳以上,解散なし
③委員会制度:専門化・複雑化した内容の審議を円滑におこなうため
・国会議員は原則として全員がいずれかの常任委員会に所属
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(2) 国会の権限
・法律の議決(59条),予算の議決(60条),条約の承認(61条),弾劾裁判所の設置(64条),内閣総理大臣の指名(67条),財政に関する権限(83・84条),憲法改正の発議(96条)
・衆議院のみの権限:内閣不信任決議(69条),参議院の緊急集会に対する同意(54条),法律・予算・条約・内閣総理大臣の指名における優越
・参議院のみの権限:緊急集会(54条)
・両議院の権限:議院規則の制定(58条),議員の懲罰(58条),国政調査(62条),議員の資格争訟の裁判(55条)
・衆議院と参議院の法律の議決が一致しない場合
→両院協議会が開かれる場合もあるが,衆議院で再可決すれば国会の議決となる(衆議院の優越)
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(3) 法律の成立過程
①立法の問題点
・成立する法律案の多くは内閣提出のもので,議員立法は少ない
・成立した法律も,委任立法となることが多い→行政権の優越をまねく恐れ
②法律の成立過程
・国会は唯一の立法機関(第41条)
・衆議院と参議院のどちらへ先に提出してもよい
(予算は必ず衆議院から審議される:予算の先議権,衆議院の優越)
・委員会で審議→本会議で審議
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(4) 弾劾裁判
・国会は職にふさわしくない行為をした裁判官を裁くため弾劾裁判所を設置
・訴追委員会の訴追決定を受け,弾劾裁判が開かれ裁判官を罷免するかどうかを決定
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(5) 国会議員の特権
・歳費特権(第49条)……国から一定の歳費が支給
・不逮捕特権(第50条)……国会の会期中は逮捕されない(会期中であっても,現行犯や議院の許可があれば逮捕できる)
・免責特権(第51条)……院内の発言や表決について,責任を問われない
→国民の代表として外部の圧力に屈することなく,自由な政治活動をおこなうための特権