進路適性検査の意義と活用

進路適性検査はキャリア教育の有効な学習教材です!

 進路適性検査の目的は,進路選択に役立つ情報を提供する点にありますので,占いのように進路先を決めつけるものではありません。また,希望する職業と検査結果が一致しているかどうかにこだわり,一喜一憂する必要はありません。

 検査は結果を出して終わるのではなく,むしろそこを出発点として,生徒に自分の将来についてさまざまな視点から考えさせることが大切です。したがって,検査を受けるだけでなく,ワークシートのようなツールを活用して検査結果についてよく検討することが大切です。

 つまり,進路適性検査はキャリア教育の有効な学習教材といえるでしょう。


進路適性検査の意義~自己理解・職業理解の促進~

自己理解

 心理学は人間の個性に注目し,これを測定する道具として知能検査やパーソナリティ検査など各種の心理検査を開発してきました。進路適性検査も心理学の技法に基づいてつくられた心理検査の一種です。

 進路適性検査の開発にあたっては,多数の高校生を対象とするデータ収集が行われていますので,興味・パーソナリティ・能力といった進路適性の要素となる特性について,集団における個人の位置づけを知ることができます。 つまり,相対的な比較の上で,ある生徒が持っている特徴を描き出すことになります。

 また,例えば興味であれば,興味の高い分野と低い分野を知ることができますので,このような個人内の比較によって,生徒の特徴をとらえることができます。 つまり,集団における位置づけとは別に,絶対的な比較によって,ある生徒が持っている特徴を描き出すということです。

 このような結果の見方を通して,自己理解を促進することが可能です。

職業理解

 もう一つの進路適性検査の大きな特徴は,職業世界についての情報が提供されることです。

 それぞれの検査が提示している職業分野は,職業の世界を体系的にとらえて示したものであり,いわば職業世界の「のぞき窓」です。これを活用することによって,自分の進路適性を理解するだけでなく,職業世界の理解を促進することが可能です。 そこには具体的な職業名が例示されるのが一般的ですので,このようなツールを活用することによって,職業に対する興味を喚起するとともに,職業理解を促進することが可能です。


 以上のように,進路適性検査を実施することの大きな意義は,自己理解・職業理解を促進する点にあります。

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進路適性検査の活かし方~自分に合った「職業選び」のために~

自分に合った仕事選び

 自己理解・職業理解を促進するには,検査結果をながめて終わりというだけでは不十分です。職業の世界の成り立ちを知るとともに職業世界を探索し,自分の特徴はどのような点にみられるのかをよく考えることが必要です。また,自分の将来についてどのような働き方・生き方をしたいのかを展望することも大切です。このような作業を通して得られる「気づき」を言語化することによって,自分理解・職業理解が促進され,「なりたい自分」がみえてきます。将来展望の中に自己理解と職業理解が位置づけられたときに,はじめて「自分に合った仕事選び」が可能になります。

ワークシートの活用

 そのためには,検査に付属しているワークシートを活用することが有効です。検査を受けて終わりという実施方法は,自己理解・職業理解の促進という点において,あまり有効ではありません。場合によっては,教員が独自のワークシートを工夫することも必要でしょう。また,検査後の課題は,基本的に生徒が個人として取り組む教材ですが,個人の作業を終えてから,グループで交流したり,クラス全体で発表したりといったグループ・アプローチを取り入れると,生徒ひとりひとりの「気づき」を促進し,さらに教育効果を高めることができると考えられます。


 以上のような進路適性検査の特徴をよく把握し,キャリア教育時代の学習教材として検査をご活用ください。

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