『空飛ぶ小論文教室』電子書籍版発行のお知らせ

令和5年12月14日


小論文学習・指導にまつわる疑問を、100のQ&A形式で解決する1冊。

2023年10月20日(金)より、長岡裕子著『空飛ぶ小論文教室』(500円+税)をKindleストアにて発売いたしました。 長岡講師の講演会でしか購入できなかったまぼろしの1冊です。文章を書く力をつけたいすべての人にお薦めします。
空飛ぶ小論文教室

『空飛ぶ小論文教室』とは?

著者・長岡裕子氏は、第一学習社専属の小論文主任講師として、全国の高校で小論文指導に関する講演や指導を行い、高校生や先生方と対話を重ねてきました。そうした出会いの中で、高校生・高校の先生方から受けた多くの質問を整理し、それに対して長岡講師が答えるというQ&A方式でまとめた本です。
小論文の書き方から、文章構成や入試対策、指導の方法まで、100のQ&Aが1ページ完結型でまとめられているため、手軽に読んでいただける1冊です。

著者:長岡講師インタビュー

全国各地の高校で、高校生・先生方に向けて講演会や指導を行ってきた長岡講師。今回、『空飛ぶ小論文教室』のKindleストアでの発売にあたり、本書に込める思いをインタビューしました。

――これまで、小論文指導にどのように関わってこられたのか、教えてください。
(長岡) 30数年前、第一学習社の国語と小論文の添削指導者としてスタートし、その後、社内で添削指導者を指導する立場となりました。そのころ、次第に高校の先生方から「小論文の指導の仕方を教えてほしい」という依頼が来るようになりましたので、少しずつ、実際に高校を訪れて小論文の講演を行うようになりました。新型コロナウイルス感染症が流行するまでは、年間100本以上の講演を行っていたんですよ。また、広島、岡山の二つの高校で、小論文専門の非常勤講師として指導もするようになりました。
そうやっていろいろなかたちで小論文指導にかかわるうちに、理論についても学びたいと思うようになり、広島大学大学院の難波博孝先生に師事し、4年間研究生として学びました。論文を書いて学会で発表する機会も何度かありましたが、それが現在につながっていますね。
講習会
――長く、小論文指導にかかわって来られたのですね。そんな長岡講師が考える小論文を学ぶ意義とは何でしょうか。
(長岡)  私は、小論文を学ぶ意義は3点あると考えています。1点目は「小論文で文章を学ぶ」。2点目は「小論文で希望の進路を叶える」。3点目は「小論文で社会を学ぶ」。小論文の課題は、いま高校生に考えてほしい社会問題が扱われています。小論文を通して学んだ社会問題が、大学での研究課題にもつながっていきます。高校と大学、社会をつなぐ架け橋になっているのが小論文なんですね。また、大人にとっても、書くことはとっても大切です。書くことによって自分の考えが整理されますから。大人になって困らないように、高校生のうちに自分の考えたことを文章で表現できるようになってほしいと思います。
――出版に至る経緯はどのようなものだったのでしょうか。
(長岡)  2003年1月に朝日新聞の「オピニオン」という読者投稿欄に、私の「書く力、高校で養成必須」という意見が取り上げられたのですが、それが一つの大きな転機になりました。私が小論文について考えていることは、社会に問いかけることのできる一つのテーマなのだと気づいたのです。小論文を単なる入試問題と捉えるのではなく、小論文をきっかけにして社会に問いかけていこうと思いました。その経験が広島大学の大学院に学ぶことにもつながったんです。
小論文の入試問題を掘り下げることは、社会について掘り下げることであると気づいてから、小論文指導をより面白いと感じるようになりました。この、「小論文の入試問題は面白い」という感覚を、高校生にも高校の先生方にも味わってほしい、伝えなくてはと思い、出版することにしました。本の中では先生方に対するメッセージも伝えていますので、是非読んでいただきたいです。
――本書は、高校生・先生方からの質問に長岡講師が答える、1ページ完結型のQ&A形式である点が特徴ですね。なぜこの形式を採用されたのですか。
(長岡)  電子書籍化するにあたり、「とにかく読んでもらいたい」と考えていました。活字離れで長い文章を読むことが難しいと感じる高校生たちにも、抵抗なく読んでもらいたい。その思いから、読みやすい1ページ完結型にしました。Q&A形式にしたのは、数々の高校で講演や小論文指導をするなかで、先生方に「講演で話しているとおりの本が読みたい」と言われていたからなんです。講演で話していることをどうやって表現しようかと考えたときに、私が講演で繰り返してきた「生徒さんと先生からの質問を受けて、それに答える」という形がよいと。そこで、高校生と先生方が求めていることに、私の思いをのせてアンサーするという本を作りました。100問のQ&Aのうち、80問は生徒さんに対して、20問は先生方に向けてお話ししています。最初から一つずつ読んでいただくと、「小論文はこうやって書くのだな」という気づきが蓄積されるように書いたつもりです。また、目次を見て、気になったページに飛んでいただいてもよいですね。
長岡講師
――特に読んで欲しいのはどのページですか?
(長岡)  私の小論文指導のなかで外せない、「設問分析」のページ(No.8~No.10)ですね。答案を添削しているときに、多くの生徒さんが「問われていることに対して答えたいけれど、どう書けばいいかわからず、問いとは違うことを答えている」というジレンマを抱えている様子を見てきました。これは、設問の意図を読み取れていないからなんですね。設問分析の方法を身につけると、ほかの教科にも生かせると講演で語っています。先生方からも「これは小論文だけの問題ではないですね」とよく言われました。先生方も、生徒が問題を理解せずに答えていると感じておられるので、自分の担当教科でもそのように教えているとの声をいただいています。
――最後に、メッセージをお願いします。
(長岡)  本当に私の思いのこもった本です。小論文を書くことによって自分の考えを整理したり、社会に触れたりすることで、皆さんに空を飛んでほしいという願いを込めて『空飛ぶ小論文教室』と名付けました。小論文を通じて文章の書き方を学び、希望する進路を叶えてほしい。そして高校で十分に学ぶことのできなかった社会人にも小論文を学んでほしいと強く感じています。
(たくさんの書籍が巷にありますから、それらを読んで→削除)社会と日々関わる中で、あるいは様々な情報ツールを通して、自分の中に色々な考え方を蓄積して、そして自分の意見を言葉で表現してほしいと思います。高校生や先生だけではなく、社会人の皆さんもぜひ学んでください。
長岡講師
――ありがとうございました!

設問分析の重要性

長岡講師の小論文指導において外せないのが「設問分析」です。長岡講師は答案を添削している際に、多くの生徒が問われていることとは異なる答えを書いていることに気づき、「設問は出題者からのメッセージである」と伝えつづけてきました。そのメッセージを受け取って小論文を書くためには、出題者の意図を分析して読むことが必要です。本書では、設問分析の具体的な方法やその重要性について説明しています。
紙面サンプル

著者プロフィール

長岡 裕子(ながおか ひろこ)
第一学習社にて、国語や小論文の添削指導を行ってきた経験をふまえ、「小論文講師」として全国の高校で、高校生や教員を対象とした講演活動を行っている。また、非常勤講師として小論文指導の特別授業を担当し、直接高校生たちに向き合っている。平成20年からは、広島大学大学院教育学研究科研究生として小論文の教育的意義について、研究を進めた。高大連携教育としての小論文指導の確立をめざしている。

書籍概要

空飛ぶ小論文教室~小論文学習者と指導者の100の質問 長岡の100の解答
著者:長岡裕子
定価:550円 (税込)
発売日:2023年10月20日
発行所:株式会社第一学習社