日本の国際収支統計が2014年1月分から見直された。国際収支統計は,国際通貨基金(IMF)が公表している国際収支マニュアルに準拠して作成されているが,今回の見直しは,この国際収支マニュアルの改訂に基づいておこなわれた。
●おもな見直しその1―主要項目の組み替え―

 「投資収支」と「外貨準備増減」が統合されて「金融収支」が新設された。また,「資本収支」のうちの「その他資本収支」(土地の所有権の移転など)が「資本移転等収支」として,「経常収支」や「金融収支」と並ぶ大項目となった。さらに,「所得収支」は「第一次所得収支」に,「経常移転収支」は「第二次所得収支」に名称変更された。

 その他,従来は「貿易収支」として取り扱われていた「財貨の加工」や「財貨の修理」は,所有権が移転するものではないとの考え方から,「サービス収支」として取り扱われることになった。反対に,従来は「サービス収支」として取り扱われていた「仲介貿易」(ある国から日本を経由して他の国に財貨が移動する場合)は,「貿易収支」として取り扱われることになった。こうした組み替えにより,これまでの国際収支統計と比べて,日本の貿易赤字は統計上縮小している。

●おもな見直しその2―表記方法の変更―

 これまでの「投資収支」では,資金の流れに着目して,資金の流出(=資産の増加)はマイナスに,資金の流入(=負債の増加)はプラスとしてきた。しかし,新しい国際収支統計における「金融収支」では,資産・負債の増加はプラスに,資産・負債の減少はマイナスに計上することになった。したがって,たとえば外国企業による日本への直接投資は従来通りプラスとなるが,日本企業による海外への直接投資についても,マイナスではなくプラスとなる。

 また,「金融収支」の一項目となった「外貨準備」についても,プラス・マイナスの表記が従来とは逆になった。これにともない,金融収支全体の合計値の算出方法は,「資産+負債」から「資産−負債」に変更され,従来の国際収支統計に関する恒等式についても以下のようになった。

旧:経常収支+資本収支+外貨準備増減+誤差脱漏=0
新:経常収支+資本移転等収支−金融収支+誤差脱漏=0

 なお,国際収支統計の時系列データの連続性を保つため,日本銀行や財務省では1996年までって,見直し後の国際収支統計に沿ったデータを作成・公表している(下表)。

(本文は日銀行資料を参照)



■国際収支統計―おもな項目の変更箇所と日本の国際収支の推移―