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連載 「情報」の授業をより楽しく
エデュカーレNo.30より

第3回 僕のめざす情報の授業教育論
                 実践事例「音入り全自動紙芝居」
愛知県立瑞陵高等学校教諭 福田 健治

実践事例「音入り全自動紙芝居」の紹介 へ  「情報」の授業をより楽しく



1. はじめに ↑UP

前回,前々回と,僕は情報の授業をより楽しく魅力的にするための授業の方法について述べてきました。ポイントは「みんなの個性が出る,みんなの発見がある,異なった作品をつくること。また,それらの作品は,それぞれにやりがいがあり,深みがあること。作品を各個人がみんなの前で発表できること。さらに友達の発表を見て,刺激を受けたり感動したりできること。」このような課題を考えることでした。そして,これらの条件をみたす最高のテーマが今回取り上げる「音入り紙芝居」です。



2. 異なる学力観 ↑UP

学力とは何でしょうか。日本では,希望の高校や大学に合格する力が学力だと多くの人が考えます。そのため,中学,高校,塾では,入試問題を解くための授業が組み立てられることになります。そこで要求される学力は,計算能力,言語能力,社会的な知識や科学的な知識など多岐にわたります。これらのことにより多くの学力がつくことは事実です。しかし,どうしても与えられるもののパターン化した暗記に重点がいきがちで,計画を立てたり,方法を考えたり,実験をしたり,解決方法を見つけたりする学力は身につきにくい傾向があります。

最近は国際的な学習到達度調査(PISA)が問う学力が注目され,論理的に考える力,多面的に考える力,自主的に行動する力などの重要性が語られるようになってきました。デンマークでは,これら新しい学力観が根付きはじめ,辞書や参考書の持ちこみが可能な試験に変わってきています。試験では課題解決能力自体が問われるのです。求められるものは,穴埋めの解答ではありません。さらに「創造的であるかどうか」が常に問われます。今,教育の世界に新しい変化が起きようとしています。



3. コンピュータで培われる新しい学力観 ↑UP

教育の質的な変化が起きようとしている現在,情報活用の実践力をつける重要性が増しています。僕が思うに,ネットや多くの教育コンテンツを駆使できる情報の授業は,課題を見つけ,論理的に分析し,行動していくことができる多くの新しい方向性をもっていると思います。

ここ20年,ネットの世界は,物事を調べるという作業を根本的に変革しました。世界中の膨大なデータから,自分が必要とするものを選び出し,それらを使って自らの課題解決につなげてゆくことができます。世界の大学の講義を受けることや外国とやり取りをして,語学をマスターすることもできます。これからは,どんな場面においてもコンピュータを駆使する能力が,さらに要求されていくことになるでしょう。



4. 「音入り紙芝居」=とてもやりたいこと ↑UP

次の課題を「音入り紙芝居」にすることを告げると,生徒から大きな歓声があがります。このテーマは,アニメ大国日本の高校生の,とてもやってみたいことの1つです。自らが監督として,どんなこだわりを入れるのか。どんな作品をつくりたいのか。夢が広がります。ただ,中途半端ではできません。

でも,やりたいこと,やってみたいことは前向きの大きなエネルギーを生みます。このエネルギーがあれば,多くの困難を乗り越えていくことができます。物事を成し遂げるためには,アイデアを出し,計画を立て,行動に移すことが必要です。また,その過程で必要になる色々な技術を身につけることもやらなくてはなりません。生徒として,自分のこだわりも考える必要があります。やる気が,これら多くの障害を乗り越えさせてくれます。

そして,期待を超えた多くの作品と出あえます。


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