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連載 「情報」の授業をより楽しく
エデュカーレNo.29より

実践事例「自ら調べる自分の進路」 愛知県立瑞陵高等学校教諭 福田 健治

「情報」の授業をより楽しく Indexページ  第2回へ

僕がおこなった授業のうち,「自ら調べる自分の進路」について紹介します。これは,前任校の愛知県立中村高校において,「情報A」(1年生で2単位)の2学期前半に,11時間(うち4時間は生徒の発表)を使っておこなったものです。



1. ねらい ↑UP

ウェブページの開設。これも,やってみたい大きなテーマの1つでした。コンピュータ社会において,発信の1つの方法がウェブページの開設です。ウェブページの開設ができれば,自分の研究,自分のこだわり,自分の世界を世の中に発信することができます。それによって,共通の仲間を増やし,新しい文化をつくっていくこともできます。僕自身,学校のウェブページづくりにかかわってきましたので,生徒にもこの力をつけさせたいと考えていました。では,何をテーマとして取りあげ,ウェブページをつくればいいのでしょうか。これが問題でした。当初使用していた教科書に「進路を調べさせる」という項目があり,これが僕の頭に長い間ひっかかっていました。そのうち,これら2つが心の中でつながっていきました。自分の進路を調べさせることができれば,ネット上からの情報収集ができ,多くのデータを要約し,まとめあげる加工が可能となり,「ホームページビルダー」を使ってのウェブページ形式での発信練習をさせることができます。これは優れた題材です。中身があり,やりがいのある,情報の授業にとって,うってつけのテーマとなります。

■進路学習でえられるもの

「進路を考えさせる」というテーマは,生徒に目的意識を与える点で優れた教材の1つです。ネットを使えば,いろいろな情報が手に入ります。自分がなりたい仕事の情報がいっぱい手に入ります。たとえば,世の中には,どんな仕事があるのか。仕事の具体的な内容は何か。その仕事に就くために,どんなことを学ぶ必要があるのか。大学へ行ったほうがよいのか,それとも早く仕事に就いたほうがよいのか。技術をマスターするのに,何年かかるのか。どんなところにやりがいがあるのか。その仕事には,どんな喜びがあり,どんな辛い点があるのか。語学やコンピュータ能力は必要なのか。収入はどれほどなのか。ネットを使うことで,多くの情報データの入手が可能になります。

高校生が進路を考えることは,とても大切なことです。かつては仕事の情報を得るには,親や親戚の人から話を聞いたり,本で調べたりするしか,方法がありませんでした。ところが,コンピュータ社会では,これらが検索という手段ですぐに手に入ります。これから仕事を決めてゆく若者にとって,こんな素敵なことはありません。また,これらの学習をすることで,高校生活をより意欲的に取り組ませることになると考えられます。

■ポイントを課題用紙に書かせる

調べはじめると,ネット上にはすでに優れた職業紹介のウェブページがたくさんあることもわかりました。逆に,これでは生徒がコピー・貼り付けをしてしまう危険があることを,僕は強く危惧しました。そこで,まず生徒に自分が調べる職業を決定させ,その職業のポイントをいちど紙に書かせるという方法を用いました。こうすれば,コピー・貼り付けでごまかすことを避けることができます。なぜなら,自分で読み理解し要約することが必要になるからです。書くことによって生徒の力を伸ばすことができると考えました。そこで,生徒にまず必要なポイントを紙に書かせ,その後でそれを説明するウェブページをつくらせることにしました。調べる項目は,自分が調べようとする職業の内容,1日のスケジュール,必要な資格や条件,高校で今やるべきことは何か,大学の学部や専門学校の情報,その仕事の長所・短所・喜び・つらさ,なぜこの仕事を選んだのか,どうすればその職業に就くことができるかなどです。



2. 準備 ↑UP

職種プリント,選んだ職業の必要なポイントを記入する用紙,「ホームページビルダー」使用方法プリント。

GIFアニメ,MIDIデータ,壁紙データのフリー素材紹介プリント。

職種プリント

※画像をクリックすると拡大画像を表示します。



3. 実践内容 ↑UP

■製作するウェブページの形式

ウェブページの形式は,最初に目次のページ(index)をつくります。また,仕事内容,資格,今やるべきこと,仕事の長所・短所,なぜこの仕事を選んだのかなどの別々のページをつくります。次に,目次からそれぞれのページへリンクをつくります。使いやすいように,それぞれのページにも,「戻る」ボタンや「進む」ボタンをつけ,リンクをつくります。ウェブページということで他の人の気を引くデザインも必要です。クリップアートやフリーの画像を挿入し,フリーの音楽をダウンロードして使用することにしました。そのための説明プリントもつくりました。なるべく多くの技術を使って魅力的なページをつくることができるよう配慮しました。もちろんそのときには,著作権の話をし,引用した場合にはそのサイトのアドレスをつけるように指示しました。

■研究発表

作品ができたところで,みんなの前で発表します。発表することで,事前に自分が職業について調べたことをしっかりと自分のものにすることができます。自分自身のあこがれを,より具体的なものとして認識することにもなります。また,友達の発表を聞くことで,友達の関心やあこがれを知ることができます。友達の発表を聞くことで,今まで知らなかった職業に対する知識を得ることもできます。このような体験を通して,職業観をつくったり,そのための学習へつなげたりすることができます。将来,文理選択や大学の学部を決めて行く上でも,とても大切な学習になると考えられます。さらに,これをしておけば,大学へ入学するためだけの受験勉強でなく,将来をみすえた勉強の意識を得ることもできます。

次のページで生徒の作品例を紹介します。この作品は「保育士」について調べたものです。index目次のページに「仕事の内容」「必要な資格」「高校や大学でやっておくこと」「仕事のやりがい・喜び・つらい点・悪い点」「この仕事を選んだわけ」の項目があり,クリックするとそれぞれのページに飛んで行きます。これを見ると,保育士さんの基本的な内容がよくわかります。タイトル・背景・ボタンなどが統一され,とても見やすいできばえになっています。


生徒の作品例



参考資料 ↑UP

「情報の授業をより楽しく」福田健治1,500円(送料別)

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