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「情報」を教えるときに読んでおきたい24冊

インターネットにも情報はあふれていますが,物事を体系立てて学ぶにはやはり書籍が役立ちます。教科「情報」を教えるときに参考となる書籍を,大学や高校で「情報」にかかわる先生に聞きました。
※書籍の発行年は初版,価格は消費税込で示しています。


大阪府立成城高等学校 教頭  松本 英太郎 先生


自己認識としてのメディア・リテラシー
−文化的アプローチによる国語科メディ ア学習プログラムの開発

松山雅子:編著 教育出版 2005年 242ページ 2,415円

 「情報」の授業といえば,Excel・PowerPointといった定番アプリケーションソフトウェアの操作学習が中心,という学校はいまだに多い。その硬直した授業から脱却するための弾みとなる力を,この本は秘めている。鉄腕アトムのアニメのCMや予告編などをパソコンで作りながら,メディアリテラシーを学べる授業展開が紹介されている。特筆すべきは,授業実践に必要なものが,この本1冊ですべて揃うことだ。アニメ素材はもちろん,CMを作るためのソフトウェアまでCD-ROMでついているので,すぐに授業に取り組める。書名の「国語科」にこだわらず,情報科教員にこそ活用してもらいたい本。


.hack//Another Birth−もうひとつの誕生<Vol.1> 感染拡大

川崎美羽:著 角川書店 2004年 263ページ 540円

 「情報」の教員でネットゲームの経験者は意外に少ない。一方,生徒の中には必ずネットゲームのプレイヤーがいる。しかもその割合は今後確実に増えていく。この小説にはネットゲームの世界と,その仮想世界を通じてつながりを作りあげていく人々の姿が描かれている。最後に提示されるのは,結局人にとって大切なのは「リアル」―現実の人生なのだ,という価値観。ぜひ一読を。


新・コンピュータと教育

佐伯胖:著 岩波書店 1997年 199ページ 735円

 指導要領の改訂に伴い教科「情報」も生まれ変わろうとしている今,あらためて学校にコンピュータを導入する意味を考える必要がある。10年前に書かれたにもかかわらず,この本の主張は今の学校現場に向けられているかのようだ。
 この本を読んで,果たして授業におけるパソコンが,「学びを支援する道具」となっているのかを検証することで,新しい「情報」の形が見えてくるだろう。
 ※2008年1月現在,この書籍は重版未定です。


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大阪府立岸和田高等学校 指導教諭  南 英世 先生


統計でウソをつく法−数式を使わない統計学入門

Darrell Huff:著 高木秀玄:訳 講談社 1968年 223ページ 924円

 私たちの周りには毎日たくさんのデータが提供されているが,なかにはかなり怪しげなデータもある。この本のはしがきで著者は「だまされないためには,だます方法を知ること」であると主張し,統計データの取り方,平均のもつ意味,グラフの描き方など,統計データと接する際の基本についてわかりやすく解説している。特に第10章には,「統計のウソを見破る五つのカギ」として,(1)統計の出所に注意すること,(2)調査方法(回答率やサンプリング)に注意すること,(3)隠されている資料に注意することなど,私たちがどういう点に注意すべきかが書かれている。少し古いが今も輝きを失わない良書である。


知の技法

小林康夫,船曳建夫:編 東京大学出版会 1994年 296ページ 1,575円

 第三部にある「表現の技法」がおもしろい。論文の書き方,口頭発表の仕方,調査の仕方などを解説する。この中で著者は,「論文」とは「自分の主張を,何らかの調査に基づいて,合理的な仕方で根拠づけようとする文の集まり」であると定義し,自分の主張のないものは論文ではないと喝破する。パソコンを使って内容のある制作物をいかに作るか。そのためのヒントとなる本である。


Q&A 事例でわかるインターネットの法律問題

小林英明:著 中央経済社 2001年 309ページ 3,990円

 電子メールの法律,ホームページを作るときの法律,ネット取引に関わる法律などを解説している。ただし,表現が少し堅苦しい点と最新の事例が載っていない点が気になる。忙しくて時間のない方には『インターネットの法律とトラブル解決法』(神田将:著,自由国民社,2006年,199ページ,1,470円)がおすすめである。トラブルに遭った生徒から相談を受けた場合にも参考になろう。


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福岡県立嘉穂総合高等学校 教諭  倉光 浩二 先生


論理表現の方法

橋本恵子:著 創言社 2006年 96ページ 1,260円

 自分の考えを,筋道を立てて相手にわかりやすく効果的に表現することは,教科「情報」において極めて重要な命題である。本書では,著者が長年の研究で,Toulminモデル,帰納法・演繹法,三段論法の3つを組み合わせ,独自に編み出した「スピーチ構成図」という手法について詳しく丁寧に述べられている。「スピーチ構成図」は,導入→主張→理由の裏づけ→理由→反論→結論という順に論理を視覚的に構成するための図である。「情報」の授業で,プレゼンテーション実習を取り入れる際などに,生徒に準備させる段階から自己評価・相互評価をさせる段階まで,通して役立つものであり,学ぶ価値は大きい。


コンピュータのための数学―論理的アプローチ

David Gries,Fred B.Schneider:著 難波完爾,土居範久:監訳 日本評論社 2001年 381ページ 4,935円

 情報科学を学ぶために必要な数学の基本を,コンピュータ科学者がその立場から書き起こした内容で全編構成されている。コンピュータ成立の土台を知り,情報科学の理論を体系的に学ぶ上で大いに勉強になる本である。「歴史ノート」と題し随所に差し込まれたさまざまなエピソード集も,教科「情報」の授業で,座学で講義をする際の導入部分や小ネタなどとしても十分使えそうだ。


30日でできる! OS 自作入門

川合秀実:著 毎日コミュニケーションズ 2006年 705ページ 3,990円

 プログラミングの基礎からはじめて,30日後にはウィンドウシステムを有する32bitマルチタスクOSを作り上げるという入門書だ。3観点の1つである「情報の科学的理解」というテーマに本気で取り組みたい方にはお薦めの1冊である。実際にOSを完成するためには,予備知識が必要だし,アセンブラやC言語についてもかなり勉強する必要があるが,全体を一読するだけでも得るものは大きい。


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銚子市立銚子高等学校 教諭  遠藤 雅彦 先生


だます心だまされる心

安斎育郎:著 岩波書店 2005年 194ページ 735円

 情報化が進む現代,ふと考えてみると,情報機器の仕組みを知らないままに,当然のように日常生活で利用しているのではないだろうか。今や「ベンリ」な時代は終わり,その後に「リスク」という語が続く時代であると,授業の中で私は生徒に話している。「私は,騙されない」と思う人ほど騙されやすいと改めて説く,本書5章「実生活にひそむだまし」が,特におもしろい。「思いこみ」の危険性を再認識させられるからである。これらを参考に授業で「思いこみ」テストを実施してみるのも非常に効果的に思われる。また,「だます側の心」や,時代とともに「だましの手口」が変化しても応用することができる。大変興味深い本である。


ヒットの「色」じかけ

高坂美紀:著 ベストセラーズ 2007年 190ページ 720円

 あなたは,なに色の携帯電話を使用しているだろうか? 同じ機種でも多くの色の携帯電話が発売されている。従来は数色しかなかった携帯電話や家電製品,ゲーム機などが,2000年頃から様々な色を使い始めている。その背景を考えるのも興味深いところであるが,授業では「色」について考えたり,CGの色による効果を体験させたりするのもおもしろい。色の不思議さについて考えさせられる本である。


KNOPPIX ではじめるLinux入門

諫山研一,天野正樹:著 秀和システム 2005年 246ページ 2,520円

 いまやOSといえば,Windowsが普通であろう。異なるOSを導入することは,興味はあっても,不安を感じる方もいるかもしれない。Linuxは安定性と性能面で注目されているOS である。最大の魅力はKNOPPIXなどのディストリビューションを使って,ディスクのみで起動できる点にある。本書にはKNOPPIX を収録したCD-ROM が付属しており,メールやLANの設定などを体験させながら学ぶことができる。ディスクを外せばもとのコンピュータの環境にもどせるため,Linuxの体験にも適した書籍である。


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(エデュカーレ情報 No.20 掲載)

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