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特集3 国際協力の現場から
タンザニアの人々の生活を支えるインフラ開発
藤井 輝明さん (JICA タンザニア事務所)

 タンザニアは日本ではあまり馴染みのない国の1つかもしれませんが,アフリカ最高峰のキリマンジャロ山や,ライオン・ゾウ・キリンなどの多様な野生動物が身近に見られる数々の国立公園を有しています。また美しいビーチリゾートなどもあり,欧米からの観光客が多い国として有名です。近年では,実質成長率7%程度の高い経済成長を遂げており,サブサハラアフリカ諸国の中でも注目されています。一方で,1人あたりGDPは965ドル(2014年,日本は36,298ドル)と依然世界最貧国の1 つであり,経済・社会インフラが不十分であるなど,さまざまな開発問題を抱えています。

 金融業界での勤務を経てJICAへ入構し,2016年9月からダルエスサラームにあるタンザニア事務所に赴任しています。インド洋に面するダルエスサラームはかつての首都であり,現在もタンザニア最大の商業都市として栄えています。国内で人口が最も多い都市でもあります(430万人,2012年)。

 事務所ではインフラ開発を担当しています。JICA本部やタンザニア政府,国際機関,コンサルタント,工事業者など関係者と協議しながら,タンザニアにおけるインフラ開発に関わる新規プロジェクトの形成・推進や既往プロジェクトの案件監理などを担っています。たとえば運輸交通分野では,タンザニア初の立体交差点を建設する無償事業の案件監理や,急激な都市化にともない交通渋滞が激しさを増すダルエスサラームにおける2040年を目標年次とした都市交通マスタープランの改訂作業などを担当しています。エネルギー分野では,急激な経済成長にともなう安定的な電力供給が課題となる中,送配電網の整備や,高効率な新規発電所の建設などを担当しています。JICAが提供できる技術協力と無償資金協力,有償資金協力(円借款)の3つのスキームを有効的に組み合わせ,タンザニアが抱える開発課題の解決に向けて日々試行錯誤しながら取り組んでいます。日本のコンサルタントや工事業者が主導して行う工事現場では,品質の高さはもちろんのこと,きめ細かいスケジュール管理や安全管理について「さすが日本」という評価をよく耳にします。日本人であれば当たり前として捉えられている,「納期(締切)を守る」「面談(約束)時間に遅れない」「整理整頓をしっかりする」ということは,タンザニアでは日本人から真似すべき美徳として考えられていることが多いです。

 また日本ほど頻繁ではないものの,タンザニア西部では大きな地震が発生するため,緊急支援物資を支援する援助事業も担当しています。地震が発生する地域は,タンザニアの中でも特に道路などのインフラが未発達で貧しい地域であることが多いため,先方政府の要請に応じてテントやスリーピングパット,水袋などを支援しています。



▲地震発生後,日本の支援物資が使用されているかどうか,モニタリングを行う

 休日は海辺に行って食事や読書をしたり,Ngoma(ンゴマ)と呼ばれるアフリカンドラムを習ったりしています。ダルエスサラームから飛行機で20分ほどのところにザンジバルという島があります。ザンジバルは,世界遺産に登録されている美しい街並みが有名なストーンタウンや,美しいビーチが有名で,ここで休みを過ごすこともあります。


▲ザンジバルにある有名なレストラン。満潮時にはボートで行く必要がある

 小・中学生の頃から地理や世界史が好きで,海外へ漠然と興味を持っていました。大学時代にバックパッカーとして東南アジアや中近東などを旅したり,アメリカに留学する中で,海外で働きたいという想いを強くしていきました。もともと国際協力に関心はありましたが,新卒時には縁がありませんでした。しかし金融業界での業務経験も,仕事の専門性の観点だけではなく,社会人としての基本動作を学ぶことができたという意味で,今の仕事に何1つ無駄なくつながっていると感じています。

 目標ややりたいことはすぐに形にならないことの方が多いと思います。けれど思いを持ち続け常にそれに向けて努力するとともに,目の前の課題も疎かにせずに取り組むことで,少しずつ想いが形に近づくはずです。高校生のみなさんが今有している想いも,ぜひ大切に持ち続けてほしいと思っています。